追記3:新城市作手の山中に「お犬さまの石室」と呼ばれる祠(穴)があります。 その昔,きつねに化かされたという村人が大勢いて ”秋葉様,山住様,春野山の三つの神社にお参りしてお札をもらってくるのがきくそうだ”という話になりました。 そして明治の末ごろまで ”お札がそろうと,お犬様の境内で,酒を飲みかわし,ごちそうをつくりおまつりしました” という,つくでの昔話・・・「お犬様」が伝わっています。 その場所を特定して行ってみました。 作手白鳥相寺から曲り峠へ向かうかつての峠道(林道)わきの左斜面に四角い穴がありましたが,境内のようなものは何も残っていません。(左画) 林道横に壊れた犬の置物(右画)があり,かろうじて場所を特定できましたが,一見草に埋もれた斜面の単なる穴としか思えませんでした。(近くでよく見れば,周囲は石組になっています) かつてここに酒を酌み交わす村人がいたと思えば感慨ひとしおですが,今は風情も何もない林道のみ。 ☆追記のおまけ:オオカミの眷属についての薀蓄 関東一円のオオカミ(大神)信仰をテーマにした「オオカミの護符」(小倉美惠子)によれば,秩父の三峯神社がその中心となっているようです。 祭神の一人,日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の眷属がオオカミという話によるのですが,作手に多い白鳥神社の狛犬も祭神(ヤマトタケルノミコト)に関連して同様の言い伝えがあると思われます。 そして,遠州から東三河にかけての神社には,オオカミの狛犬(お犬様信仰)がけっこう残っています。これは,願い事について護符をもらう,または小さなヤマイヌの像を借りてくるというもので,天竜の山住神社系と串原(恵那市)の中山神社系の二系統があるようです。 これらの神社の狛犬(オイヌ様)はとうぜんながらオオカミの狛犬ということになります。 山住神社は未見ですが,中山神社の拝殿外には石の狛犬と並んで珍しい土焼き製狛犬があります。 残念ながら2021訪問時,吽像の顔が壊れていましたが・・・右画像は健在なほうの阿像です。 2022.4.27記 |