■ 028 3つの六所神社をたどって六所山へ ■

豊田の六所山といえば,徳川家康と深い縁がある山です。
豊田市総合野外センターの管理下にあるように見えますが,本来は六所神社の山であり,「社叢林」と考えるべきでしょう。
六所山の拝殿ができるまで仮の祭祀地だったという古六所神社,坂上町の本宮(下宮),山上の上宮という三ヶ所を巡ってから六所山の頂を訪れるというのが本来の順序だろうと,今回その正規参拝ルートをたどってみました。

ルートとしては,県道39号岡崎足助線から王滝渓谷の岩登りで有名な古美山園地へ入り,古六所神社を参拝。
そこから県道361号を東へ向い,野外センターへの案内に沿って右折,六所神社本宮(下宮)へ参拝。
さらに東へ野外センターへ向かう途中の料理旅館付近に「いのししコース登山口」(No1)があります。
この3ヵ所は車で短絡することにします。 (下宮〜登山口は1kmほどですが,この時期に歩く気にはなれません)

古六所神社(右図)は,上記の六所神社上宮が六所山に創建される前に,一時仮の宮として安置されたところだそうです。(未確認ですが)
王滝渓谷古美山園地の駐車場に車を置いて少し戻ると,道路左に案内板があります。
いちおう踏跡はしっかりしていますが,この時期ですので藪化しています。道が下っていって大丈夫か?と心配になる頃,十字路になり,再び案内板がありますのでひと安心。

案内に沿って竹林を越えて着いた場所は,それらしい雰囲気にあふれています。
鳥居をくぐって石段を登った所には,すばらしい巨石(磐座)に囲まれた祠。参拝する人もわずかと思われる古六所神社ですが,このロケーションは,磐座に特徴的な,ちょっと独特な「霊気」ともいうようなモノを漂わせています。
(豊田市の案内看板がなにやら場違いな雰囲気)

なお,この付近(古美山園地)はフリークライミングで有名で,雨上がりというのに駐車場には結構な数の車が止まっていました。晴れていたら駐車するのも大変かもしれません。
近くにB29の墜落地として「友好の碑」が立ちました。(2010.11月)

六所神社下宮(下地図上端)は1920年頃に拝殿・祭文殿が再建されたとあります。
社 格は岡崎市の六所神社と同じですが、こちらの方が元らしい。
なんといっても神社向かいに立つ農村舞台がすばらしい。
90cmの通し梁一本で支え、釘を使わず組み上げた茅葺屋根と天井材は、ロケーションも含めてじっくり眺める価値があります。(右画)
Map1
この地図は,国土地理院長の承認を得て,同院発行の数値地図50000(地図画像),数値地図25000(地図画像)及び電子地形図25000を複製したものである。(承認番号 平26情復、第48号)
この地図を第三者がさらに複製する場合には,国土地理院の長の承認を得ることが必要です。
六所山へは、車を少し先の野外センター途上の広い駐車帯のある付近()に停めて登山口の石鳥居(No1)に引き返します。
上宮・頂上への「いのししコース」は,鳥居をくぐったすぐの場所から,予想外にすばらしい原生林が始まっていました。
この日,梅雨時の雨上がりとあっていたるところ水が流れ,屋久島をスケールダウンしたような巨木の間を歩いて行きます。
10分も歩くと,かつての修行場であったともいう不動滝(No2)。
ここから,すこし急な登りとなりますが,巨木に気を取られて,疲れを感じる前に林道との出会い(No3)に到着。
林道に沿った登山道で右からの廃道の左右に立つ一対の石灯籠に遭遇。(これは東からの参道跡でしょうか?)
緩やかな旧参道を登っていくと,最後に巨木の間をぬけて六所神社上宮に出ます。(No4)
広い境内には周囲に巨木が点在。

山頂へは,上宮東脇を抜けて北に向かいます。
六所神社以前からこの山に祭られていた蜂ヶ峰神社の拝殿を過ぎるとまもなく,通り過ぎてしまいそうな展望のない山頂。(No5)
かつてあったはずの展望台の場所はどこだったか,まったくわかりませんでした。(10年以上前に一度登ったはずなのですが)
直進して見晴台と呼ぶ,反射板の建つ小ピークに出ると,山頂の味気なさを充分補ってくれる展望が開けます。(No6)
下りは50mほど引き返した分岐から「かもしかコース」へ。
少々急ですが,なかなか素敵な尾根道を下っていくと,広場を経てキャンプ場入口に到着。(No7)
場内には入らず,左方向(西)へ林道を歩いていくと,やがて駐車しておいた車が見えてきました。

王滝渓谷〜古六所神社〜六所山の場所はこちら⇒mapion 

古六所神社 霊気あふれる磐座,古六所神社。

古美山園地の駐車場から山を越えた反対側になります。
近くには,大給松平城主親乗の墓や「B29の里」の案内看板があります。(昭和20年正月この近くに墜落した)
下宮舞台 六所神社下宮(左)と,道をはさんでその向かいに建つ農村舞台(右)。
かつてこのあたりの人々が集ったのでしょう。いかにも陽光あふれる明るい場所です。
杉の巨木はちょっと勢いがないけれど。
舞台から見る その舞台から下宮を眺める。

天井には90cm×60cmというすばらしい通し梁が柱ナシの舞台屋根を13mに渡って支えています。
いのししコース No1 いのししコース入口に立つ鳥居。

苔むした石鳥居は,ここが確かに旧表参道であることを示しています。
不動滝原生林 左:No2 不動滝

右:原生林(拡大して犬の大きさと比べてください)
上宮 左:最後に巨木の間を抜けると・・・。

右:そこが六所神社上宮。(No4)
蜂が峰神社。
上宮の北小ピークにある別名「隠居神」。

六所山以前は,この山は「蜂が峰」或いは「吉木山」と呼ばれていたという。
(ヤマトタケル伝説にも関係するといいます)
六所山山頂(611m)。

この札がなければ単なる尾根上の一地点。
帰路は,唯一右方向のかもしかコースへ。
かもしかコースへの分岐を下らずに直進すれば,反射板の設置された見晴台。
見晴らし 大きな反射板の立つ見晴台。

東方向(豊田市街地)への展望が開けています。
かもしかコースコース基点 左:かもしかコースの尾根道。(拡大可)

右:下り切ったところはE広場となる。
すぐ下は豊田市野外センターのキャンプ場。
シーズン中(7〜8月)は進入を避けたい。

2010.07.01■戻る■
inserted by FC2 system