余談43で引き取った犬はまだ推定5歳と若く、朝晩元気に散歩させております。(そろそろ熱中症に気をつけないと!) 里山を歩く人ならご存じのように、自然の残る野外は春になるといろいろな虫たちが活動を始め、種類によってはうっとおしいヤツラもいます。 水辺や林のある所では小さな羽虫が寄ってきて、特に顔の周囲を飛び回りなかなかやっかいです。 低い位置を歩く犬は、人以上にそれらの羽虫にまとわりつかれるのですが、集中的に目にたかってくるのが「メマトイ」というショウジョウバエの仲間。(右画では右目に一匹留まっている) こいつが「東洋眼虫」という長さ10数mmの細長い寄生虫の中間宿主になるらしい。 ネットで調べると、出るわ出るわ、虫が目にいる気味の悪い画像、それを取り出した画像がたくさん見られます。 犬・猫はもちろん他の動物も(人間も)感染例はたくさんあるようで、さらにその名前と関係なくイタリアの一部地域では犬の感染率23〜40%という怖い話もあり、英国を含むヨーロッパではすでに全域に広がっているらしい。 目の寄生虫では他にもアメリカの症例があるらしいが、東洋眼虫と同じ種類かどうかはわかりません。 |
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右画像は今年4月22日夕方のモノで、かなりひどい状態(右6+左3)です。 涙に含まれるタンパク質を吸うために来るのですが、この時体内に東洋眼虫の幼虫がいるとメマトイの口から乗り移るという話です。 この日あまりにひどかったので、これ以後散歩コースを一部修正し、また歩く前にハッカ水のスプレーを頭にかけて出かける様にしました。 これで寄り付く虫数は多少減りましたが、その日の天候と場所次第で変わります。 やはり風がなく、蒸し暑い日は多いような気がします。 川の近くだけでなく、100mくらい離れた自宅付近でも出没しますから油断禁物。 メマトイはかなり強欲で、犬の瞬きくらいでは逃げません。(画像の左目がそれ) 眼の下に留まっているのを指で押さえることが出来るくらい図太く、その場合は圧迫したまま下にずらせば落とせるときもあり、また離した瞬間に逃げられるときもあり。(完全に潰すのは逆に危険でためらう) 感染対策ですが、メマトイから感染した直後の幼虫段階なら、フィラリアの薬(イベルメクチン、ミルベマイシンオキシム等)が有効だと言われています。 でも幼虫は2週間ほどで成虫になるとも書かれていて、成虫に有効かどうかがはっきりしません。 月に一回飲ませるフィラリア薬と感染のタイミングによっては、成虫になってしまう可能性がありますから、この点は少々気になる。 獣医さんで聞く機会があり、その答えは 「成虫でも弱らせる効果はある」というのと、「近辺(愛知)での感染例はまれ」というものでした。 どう判断するか微妙ですが、フィラリア薬を飲ませない12〜2月に症例が多いというのは、ある程度安心材料。(この時期メマトイは出ない) 万全を期すならゴーグルが要る。(冗談でなくそういう画像も見た) | |
東洋眼虫は1910年にパキスタンで犬の眼から発見された。 イヌ,ネコ,キツネなどの眼に寄生し、成虫はその寄生部位の眼結膜面で胎生卵を生み、虫卵は涙液や眼脂などに混入する。 そのような涙液や眼脂を中間宿主であるメマトイ類が食する時,消化管に取り込まれ約2週間後に感染幼虫となって吻近くに現れる。 このようなメマトイが再び終宿主(イヌ,ネコ,キツネ等)の眼部で涙液や眼脂を嘗食する時,結膜面に感染幼虫が放出され感染する。 これはヒトも同様の感染経路で、日本では1957年に第一例が報告されている。 西日本(特に九州)に多いと言われていますが、温暖化に伴い感染も北上、愛知はもちろん、関東でもあちこちで感染が報告されています。 (ただ、メマトイの東洋眼虫感染率は2004年の大分県の調査では2〜4%程度) 治療は結膜嚢内、瞬膜下の成虫をピンセットなどで摘出します・・・これはヒトも犬も同じで、摘出後は特に問題はないようです。 瀬戸の獣医さんのHPによれば年間2,3件(2018)とありますから、多くはないが決して少ないともいえない感染数でしょう。 ☆参考→病原微生物検出情報月報/臨床眼科_学会講演集/国立感染症研究所昆虫医科学部年次報告/各獣医さんのHP ☆成虫になるまでの期間は、2週間〜5週間と話はいろいろで明確ではない。 |