■ 129 五色園・岩崎御嶽山/日進市 ■

一部でかなり知られたコンクリート像作家、浅野祥雲の作品がある五色園と岩崎御嶽山にオジサン二人で出かけました。
五色園は園内の広さを読み違えて(予想よりはるかに巨大)、とても全部の像を見て廻る事が出来ずに残念。(道に迷ったし)
昼をはさんで「小牧長久手の戦い」の岩崎城を散策後、この地方最大の御嶽信仰の地、岩崎御嶽山へ。
山ひとつが霊神碑で構成されている場所で、ここでは浅野祥雲作品を見るというより、多種多様な霊神碑(だけではないが)にただ圧倒されてしまいました。
 ☆岩崎御嶽山は、木曽御嶽山を信仰の対象とする御嶽心願講の拠点(1860年創建)で、山頂神社を中心に3000以上とも4500とも言われる霊神碑(信者が亡くなったとき立てる記念碑)の集まる霊山です。戦後〜昭和の時代にもっとも興隆を極め、1991年(バブル期!)に現在の社殿が完成、その時点で各講ごとに分かれた霊神場は把握されているだけで493ヶ所。心願講に限らず尾張・三河一帯から多くの講がここに霊場を持ち、正月には広い駐車場も埋まると言われます。しかし独断に基づいて書くなら、放置されていると思われる場所もあちこち目に付き、霊神場は一部を除いて荒廃しつつあります。(参考:「御嶽信仰を支える人々」榊原奈央子)
近くには、奥の院(竹の山)・米野木・岩作・東郷・諸輪などの御嶽神社または御嶽社があり、霊神碑が見られるようです。(米野木のみ同日参拝)
 ★なんと、NHKで「中部の至宝!コンクリート芸術の謎を追う〜浅野祥雲三大聖地」という番組が放送されたようです。(11/20、再放送12/6)
たまたま浅野祥雲をネット検索していて見つけたのですが、なんてことだ!すごく残念。もう一回再放送・・・もうやらないでしょうね。
124triennaleMap.gifこの地図は,国土地理院長の承認を得て,同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものである。(承認番号 平28情復、第82号)
この地図を第三者がさらに複製する場合には,国土地理院の長の承認を得ることが必要です。
まずは五色園・・・車でも廻れるようにあちこち駐車場がありますが、数ヶ所見て終わりというつもりでなければ、入口地点に車を置いて反時計回りに歩いて廻るのが正統派参拝道でしょう。

No1「月見の宴」から順に歩いて、No2「桜ヶ池大蛇入定の由来」〜No3「御田植」に着くころには園内の広さを実感、No4「親子悲願仏」付近では完全に里山歩き状態、全部見ていては先の予定に問題が出そうです。
それに加えて、No4から北上した小ピーク(×)から先でルートが消え、しかたなく引き返すという想定外のタイムロスも加わる。
残念ながら一部省略しつつNo5「鹿ケ谷鈴虫松虫の剃髪得度」から本堂に向かいました。(本堂は坂を登った丘の上)

ひと気のない大きな本堂(No6)を参拝後は、西ルートで下ります。
No7「日吉丸矢作橋出世の糸口」は像も多くて力作です。
下り途中でつい素通りしそうな脇道を登った場所の、No8「箱根権現御饗応」も見ておきたい大作です。(大鳥居まである)
そして最後はNo9「板敷山弁円狙撃」、ここには謎の廃屋が建っており、裏手にはカラスを頂点した祭壇群像があります。(小さな像ですがちゃんと補修されています)

岩崎御嶽山(右図)は地点近くのNo10 「弘法大師」「毘沙門天」、本殿背後のNo11「不動明王二童子」などが祥雲作と見られるようです。
他にも祥雲の像がある様ですが、次々と現れる多彩な霊神碑・群像を見ているうちに、どれが祥雲作なのかという判別はどうでもよくなりました。

これだけの規模を成した御嶽信仰のパワーと、今その御嶽講(というより信仰そのもの)が風化しつつあるという現実を目にして、感慨深いものがあります。この感想を再確認するためにいつかまた訪れてみよう。(五色園も全部見てないし)
・五色園の場所はここ⇒MAPION (岩崎御嶽山は五色園の真西約2km)
・祥雲については「コンクリート魂 浅野祥雲大全」大竹敏之著に詳しい。
入口 map左: 歩き始めて最初に目にする
No1「月見の宴」(幼少時の親鸞)

右:園入口の案内図。(拡大可)
あらかじめネットで各場面の予備知識を入れておくと理解しやすい。

像は塗り直されています⇒祥雲再生プロジェクト
kuma  No2「桜ヶ池大蛇入定の由来」

池のほとりに立つ像は、のたくる大蛇(龍のように見えますが)の造形がなかなか凝っている。
場所の選定もいいし。
09kannon1.JPG No3「御田植」の上方で遠目ではよくわからず、なんだろうと登ってみると、なんと作品が土台からひっくり返っていました。
俵を積んだウマと人のようです。
斜面の地盤が弱く倒れてしまったようですが、これはちょっと補修がたいへんそう。

ここから尾根を登ったのですが×地点で迷って撤退!
案内図は微妙におかしいです。
(ともあれこれほどの山歩きは予定になかった)
紅葉 No5付近はまだ紅葉の真っ最中。

この道を挟んだ反対に、「鹿ケ谷鈴虫松虫の剃髪得度」という場面の群像があります。
(ネットで調べるとわりと有名な話らしい)

でも荒廃した休憩所のほうが目についてしまう。(右)

11kuzure2003.JPG No6 五色山大安寺本堂。
(浄土真宗系単立宗教法人とあります)

宗旨宗派を問わない五色園墓地や最大150人収容という大きな宿坊があります。
それにしては人が少ない。(B級スポットとされる由縁か)

23_norosi.JPG 左:No7「日吉丸矢作橋出世の糸口」

右:No8「箱根権現御饗応」

この二ヶ所がもっとも記憶に残る。でも日吉丸と親鸞の関係は?
22top.JPG No9「板敷山弁円狙撃」のふもとに立つ廃屋の裏側にこの祭壇風の群像がある。

なにしろ最上段にいるのはカラスである。
八咫烏かと思ったけれど、よく見ても足は2本しか見えない。
廃屋(神社風の造り)も含めて、謎です。
(”四恩報徳”の刻字があり、先祖供養像ということですが、詳細は不明:「コンクリート魂」より)
22top.JPG 観音
岩崎御嶽山社殿入り口。

右:No10 祥雲作「摩利支天」
右足で踏む邪鬼の表情が微妙でたいへん受けている像です。

隣には同じく祥雲作「弘法大師」もありますが、周辺は霊神場が取り巻いています。
22top.JPG No11付近 役行者と前鬼・後鬼。(祥雲?)
顔つきが少し違うかも・・・。
役行者像としては写実的でいい造りです。
帰路



はてしなく続く霊神碑・群像を後にして、紅葉の残る石段を下る・・・。
いずれまた来るでしょう。


2016.12.16 UP ■二代目に戻る■
inserted by FC2 system