■ 10 再びヤマカガシに遭遇した ■

今年はすでに何度も毒ヘビに会いました。(お友達になりたくない今年の毒ヘビたち参照)
寒くなってきたのでもういいかと思った11月初め,またもヤマカガシに出会いました。

岡崎・岩谷観音へ出かけたおりのことです。
裏参道から頂上へ歩いているとき,いっしょに歩いていた犬が突然道脇へダッシュしました。
こちらが何もわからぬうちに,何か咥えて振り回します。
すぐに地面に落ちたのを見ると,これが小さめのヤマカガシ。(40〜50cmくらい)
また噛み付こうとするのを引っ張っているうちに山の斜面へ消えてしまいました。

盛んに口を振って唾を飛ばすので噛まれたか?と思いましたが,腫れてくる様子もなく,大丈夫だったようです。それにしても全く懲りない犬です。
ただ家に帰ってから晩ゴハン(ドッグフード)を食べません。
近づいてニオイを嗅ぐのですが,食べることなく引き返すこと数回。
結局,翌日の朝まで同じで,食欲はあるのにほぼ一日水を飲むだけでした。
これはまちがいなくヤマカガシの頸毒が口に入ったと思われます。

ヤマカガシは牙毒と頸毒という2種類の毒を持つ珍しいヘビです。
この頸毒は「常食するヒキガエルの毒を溜め込んだもの」との研究成果が公表されました。(2007年1月30日の時事通信の記事)
それを頸部の背側に20対並んだ頸線というところから噴出させるのだそうです。
「噴出」というのはおおげさでははなく,東京医科歯科大の調査によれば実際に1m以上飛ばすこともあるそうですから,威嚇・目潰し効果は充分あります。
よく洗えば失明するほどではないようですが,数日は視力が戻らないようです。
⇒「自ら経験したヤマカガシ頸腺毒による眼障害」(国立情報学研究所 CiNii 本文PDF)
ヒキガエルを食べない環境に育てると頸毒を持たないヤマカガシになるそうですから,これはフグ毒(こちらは貝毒だが)と同じですねえ。

IWAYA200911いっぽうの牙毒は,奥歯の根元なのでよほど深く噛まれない限り大丈夫ですが,毒が入った場合は大変です。
毒の強さはマムシ以上で血小板を破壊するので全身の血が止まらなくなる。さらに悪いことに,痛みや腫れがあまり出ないので,噛まれたことに気付くのが遅れて死亡事故につながるというのです。
これはなかなか怖い話です。
1972年に中学生が噛まれて死亡するまで毒ヘビとは一般に知られなかったようで、素手でつかむなど、けっこうかまう人がいるようです。1984年にも死亡事故は起きています。(愛知県・・・やはり中学生)

私が出会った2匹はともに逃げ腰でした。しかし,ウチの犬のように強引に襲えば当然反撃もされる。今回は一日経ってからは通常通り食べるようになりましたが,やはり気を付けましょう。
今度見つけたら・・・ヤマカガシは見逃してやろうかと思っています。
でも,マムシは・・・見つけたら処分するという人が多いようで,私も今後そうしようかなと。
1.12
2009.11.12 ■戻る■
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